最適なプレゼント〜オルゴール〜

最初に女の子にプレゼントしたのが、実はオルゴール。

中学2年だったと思う。
当時の彼女に送ったものだ。
プレゼントと言っても、自分でバイトしているわけでもなく、
月々の少ないお小遣いとお年玉の残りを細々と使うことしかできない。

そんなしょうもない金額では、たいしたものも買えず、
それなりに見栄えのする安くて女の子がよろこぶもの・・・。

精一杯考えて選んだオルゴール。

夏休み、たまたま家族で旅行に出かけることに。
しかも、できたばかりの彼女の誕生日に!
親、兄弟と旅行なんてちょっと気恥ずかしいし、嫌だな、
と思いつつ、旅行の計画を一生懸命調べている母親を見ると、
自分だけ行かないとは言い出せなかった。
兄貴も、 「バイト休むのかよ・・・。」 と、あきらかに憂鬱そうだった。
けれど、やはり母親に反対の意思を伝えられなかったようだ。
彼女に、

「おみやげ、買ってくるから。」

と、謝り、涙ぐむ彼女をなんとかなだめた。
そりゃそうだわな。 彼女にとっても初めてできた彼氏と誕生日に会えないんだから。
訪れた先は、普通の旅館。
聞いたことはあったが東尋坊から海を見渡すと、かなりの迫力があった。
さすがは自○の名所。
おれは、みんなに自慢してやろうと考え、精一杯腕を伸ばし、
携帯の画像に収めようと崖から身を乗り出した。

「カシャ。」

確認すると、見ているほどの迫力がない。
もう1枚撮ろうか迷っていたら、いつの間にか後ろから兄貴が近づいてきていた。

「わっ!!!」

別に、突き飛ばされたわけでもなく、ガシッと肩をつかまれただけなのに、
おれは身体が浮き上がるくらい驚いてしまった。
なんとか満足する写真を撮って、彼女にメールしてみた。
けれど、彼女からの返信は、

“楽しそうでよかったね”

絵文字もない真っ黒なメール。 怒ってる・・・?
おれはあわてて彼女へのおみやげを見に行くことにした。
このときはまだオルゴールという選択はなかったのだけれど。